野村(Nick)です。
新しいPMP試験が始まって、まもなく3ヶ月です。それ以前と現在の試験の状況、そして攻略法についてお話しします。
全体感——勉強を、最初から作り直す必要はない
まず、公式情報と受験した方々の報告を調べてみました。
全体的な傾向として、問題一つひとつの知識難易度が、急に跳ね上がったわけではないと私は見ています。以前の大改訂では、新しい言葉が一気に増え、合格者が激減するような時期もありました。今回は、そこまでの変化ではありません。
もちろん、何も変わっていないわけではありません。Business Environmentの比重は8%から26%へ増えました。ケース/シナリオ型と図表型も加わり、試験時間は230分から240分になっています。持続可能性も、以前より明確に扱われます。
それでも、プロジェクト・マネジャーとして状況を読み、関係者を確認し、いきなり手を動かす前に問題を理解し、最も無難な次の一手を選ぶ——この基本は変わっていません。
ですから、学習方法を根本から作り直す必要もありません。やるべきことを淡々と行えば、合格できます。
ただし、「読む負荷」は増えた
新しく登場したのが、ケースを読んで、そこから複数の設問に答える形式です。図や表を見て判断する問題も加わりました。これはPMIの2026年版 Exam Content Outlineに明記されています。
受験者の声には幅があります。
「特に難しくはなかった」という人がいる一方で、「別のケースへ移ったと思ったら、後で前のケースに関係する問題が出てきて焦った」という報告もあります。後者はPMIが公表した試験仕様ではなく、あくまで受験者報告です。ただ、日頃からある程度の量の文章を読み、要点を拾う習慣のある人にはさほど気にならなくても、人によってはかなりの負担になります。
少なくとも、いったん別の話へ頭を切り替えたあと、前の話へ戻されるのは、脳のスイッチングとして面倒です。
今回の変更で難しくなったのは、知識そのものより、読解と注意力を長時間維持することなのかもしれません。
新たな出題形式への対策
弊社では、この出題形式に対応するため、テスト的に無料のケース演習8ケース40問を公開しています。まだ試作的な位置づけですが、長めの状況説明と図表から、必要な情報を拾う練習には使えます。
では、手元にそのような問題がない場合、どうするか。
お使いのAIに、少し長めのシナリオと問題を作ってもらう方法があります。たとえば、次のように頼みます。
あなたはPMP試験対策の作問者です。2026年版PMP Exam Content Outlineに沿って、完全オリジナルの練習問題を日本語で作ってください。実在の試験問題や市販問題の再現はしないでください。
1. 600〜900字程度のプロジェクト・シナリオを1つ作る
2. 役割、制約、期日、意思決定権限、途中経過の数値を含める
3. Markdownの表で、小さなダッシュボード、リスク表、進捗表のいずれかを付ける
4. そのシナリオと表を読まないと答えが決まらない設問を5問作る
5. 単一選択と複数選択を混ぜ、複数選択では選択数を明記する
6. 暗記ではなく「次に何をするか」「最初に何を確認するか」を問う
7. 問題をすべて出したあとに、正解と、他の選択肢が不適切な理由を説明する
8. 根拠を示すときは、存在しないPMI文書名やページ番号を作らない
AIの問題は、そのまま信用しないでください。正解が本当に一つに決まるか、シナリオを読まなくても一般論だけで解けてしまわないかは、人間が確認する必要があります。AIは練習相手にはなりますが、PMIの公式問題集にはなりません。
今、どんな練習問題を使うのがベストか?
ここ最近の世界的な流れを見ると、PMI自身が出している問題を使うのが無難です。とくにPMI Study Hallは評価が高く、現在のEssentialsは3ヶ月59米ドル。模擬試験、ミニ試験、ケーススタディ、330問の追加練習、ゲームなどが含まれています。
極論すれば、35時間の受講を終えた後は、毎日Study Hallを進め、間違えた問題について「なぜその選択肢なのか」を確認し続ける。それだけでも、かなり合格に近づけると思います。
問題は英語です。Study Hallは英語で開発されており、PMI自身もChromeのGoogle翻訳拡張機能を使う方法を案内しています。AIに市販問題を丸ごと読み込ませるのではなく、分からない英文や考え方を部分的に説明させる使い方がよいでしょう。
個人的には、Study Hallのゲームに一時期はまっていました。結構、中毒性があります。有償ですが、それほど高くない。そのあたりが絶妙です。
PMIは、ずいぶん大きくなった
PMIは昔、ガイドなどの出版と、PMPなどの認定資格が事業の大きな柱でした。最近は、Study Hallを含むデジタル学習コンテンツにもかなり力を入れています。
数字を確認すると、PMIのForm 990上の総収入は、2015年の約2億1,100万米ドルから、2024年には約3億9,000万米ドルへ増えています。約85%増です。
ただし、これを「トレーニングコンテンツを増やしたから売上が伸びた」とまでは言えません。会費、試験料、投資収益なども含む総収入だからです。分かるのは、10年前より組織全体の規模がかなり大きくなった、というところまでです。
合格ラインって、どのくらい?
ここは、はっきり分けておきます。
PMIは、PMP試験の固定的な合格正答率を公表していません。 合否は心理測定学的な分析によって決める、としています。したがって、「本番は何%で合格」と断定することはできません。
一方、Study Hallは世界中で使われているため、目安にはなります。合格者の報告には、「実際の試験はStudy Hallと同等か、少し易しかった」という声があります。Study Hallの模擬試験で60%台前半から70%前後だった合格者も観測されています。
ですから、私なら、Study Hallの模擬試験で7割前後を安定して取れるなら、かなり仕上がっていると考えます。
ただし、これはPMI公式の合格ラインではありません。あくまで、受験者報告から見た実務上の目安です。
大量の問題を解き、パターンを覚えればよい——とは言えない
ここ10年くらいのPMP試験は、大量の練習問題を解けば合格できる、という試験ではなくなりました。言い換えると、暗記、記憶、パターンだけでは攻略できない傾向が強まっています。
この試験で必要なのは、量と時間の圧力の中で、最も無難な選択肢を選び続けることです。
一文一文の難易度は、それほど高くない。しかし、ちょっとうんざりするシチュエーションが連続で出てくる。その中で、脊髄反射的に「たぶん、こっちだ」と思えるものを選んでいく。
知っているから答えられるのではなく、「たぶん、こっち」という嗅覚を試されています。
これは、実務に少し似ています。必要な情報が全部きれいに揃うことなど、ほとんどありません。それでも、今ある情報で、いちばん事故の少ない判断を選ばなければならない。
複数選択で「2つ選べ」が続くと、それだけで疲れます。さらにケース問題が加わりました。知識を難しくする代わりに、形式によって圧力を強めている、とも考えられます。
要するに、最後に試されるのは、試験時間に耐えられるタフさなのかもしれません。
最後に
すっかりPMIの宣伝をしてしまいましたが、23年間もPMIの本部会員なので、そこはご容赦ください。
一方で、私は「世界中で使われているものを使ったほうが、得られるものがある」と考えています。誰か一人の攻略法を信じるより、同じ試験を受ける世界中の人が使い、その結果について大量の報告が積み上がっている教材を使う。そのほうが、迷いが少ないからです。
新試験だからといって、全部をやり直す必要はありません。
基礎を押さえる。長めのケースと図表に慣れる。時間を測って最後まで解く。そして、間違えた問題では、答えそのものより、判断の順序を確認する。
やることは、これまでどおりです。淡々と進めましょう。
参考資料
- Project Management Professional (PMP)® Examination Content Outline — July 2026(PMI)
- PMP Exam Updates — 2026年版の変更概要(PMI)
- PMI Study Hall Essentials(PMI)
- PMI Certification Handbook(合格基準の決定方法)
- PMI Annual Reports
- Project Management Institute Inc. Form 990 data(ProPublica Nonprofit Explorer)
受験者報告は個人の経験であり、試験フォームによる差があります。本記事では、PMIが公表した仕様と、受験者報告・筆者の見解を区別して記載しています。
PMP、PMBOKは、Project Management Institute, Inc.(PMI)の登録商標です。

