野村(Nick)です。
CAPM資格を持っていれば、PMP申請に必要な35時間のプロジェクト・マネジメント研修は免除される。これは長く続いてきた制度です。
しかし、2026年に公開されたPMP Examination Content Outline(試験内容の概要:ECO)の旧版では、この免除が実質的に廃止されていました。有効なCAPM保持者に認められるのは23時間分で、残り12時間の追加研修を証明する、と書かれていたのです。
ところが、現在のPMI公式資料は、再び「有効なCAPMで35時間の研修要件をすべて満たす」としています。
どういうことなのでしょうか。
先に結論——現在は、有効なCAPMで35時間要件を満たす
2026年10月13日現在、PMIの公式資料から確認できる結論は明確です。
申請時点で有効なCAPM資格を持っていれば、PMPの35時間研修要件は免除されます。
現行の2026年版PMP Examination Content Outlineは、有効なCAPM保持者は35時間を証明する必要がなく、研修要件が免除され、35時間分のクレジットを得ると明記しています。
PMIのPMP資格ページも、有効なCAPMがPMPの研修要件を満たすと説明しています。2026年9月25日付のPMI公式記事「How to Meet the PMP 35-Hour Training Requirement」も同じ結論です。
ただし、失効したCAPMは使えません。suspension期間中であれば、PMPへ申請する前にCAPMを更新する必要があるとPMIは説明しています。ここで重要なのは、「以前CAPMに合格したことがある」ではなく、「PMP申請時にCAPMが有効である」ことです。
しかし、「追加12時間」は間違いではなかった
問題は、「CAPM保持者にも12時間の追加研修が必要になった」という情報が、単なる読み違いではなかったことです。
2025年の著作権表記が入った2026年版ECOの旧版には、有効なCAPMを23時間分のクレジットとし、PMP ECOに沿った追加12時間のcommercial trainingを証明すると書かれていました。現在のPMIサイトではその旧版を同じURLから取得できませんが、旧版を保存した第三者アーカイブで当時の記載を確認できます。
一方、2026年の著作権表記が入った現行ECOでは、23時間クレジットが35時間クレジットに変わり、「追加12時間」の記述が消えています。
したがって、少なくとも次のことは確認できます。
- PMIが公開したECOの旧版には、追加12時間と読める明確な記載があった
- 現行ECOには、その記述がない
- 現行ECOは、有効なCAPMに35時間全体のクレジットを与えている
私が確認した範囲では、PMIが「23時間クレジットと追加12時間の方針を撤回した」と説明する公式の告知は見つかっていません。資料が改訂されたことは確認できますが、いつ、なぜ変えたのかは不明です。
「12 PDUs」の「CAPM to PMP」コースの記録も残っている
さらに興味深いのは、PMIの研修コースです。
PMIは現在も、「PMI® CAPM® to PMP® Essentials Course」を提供しています。PMI公式の日本語版商品ページによると、現在は15時間・15 PDUsのコースです。商品説明は、CAPM保持者はすでにPMPの研修要件を満たしており、このコースはリーダーシップ、統合、ガバナンス、価値提供などを強化し、PMP試験へ備えるためのコースだと位置づけています。
つまり、現在のこのコースは、PMP申請のために受講が必須となる「不足分」ではありません。基礎知識を問うCAPMから、状況判断とリーダーシップを重視するPMPへ進むための、任意の差分学習です。
その一方で、PMIのContinuing Certification Requirements System(継続資格要件システム:CCRS)には、12 PDUsとして登録されたアラビア語版コースの記録が残っています。開始日は2026年5月28日、配信方式はオンデマンドと表示されています。しかし、現在のアラビア語版商品ページは15時間と表示しており、ここにも新旧の情報が並存しています。なお、CCRSの12 PDUs表示だけで、そのコースがPMP申請用の「12 training hours」として設計されたことまでは証明できません。
旧ECOの「追加12時間」と、CCRSに残る12 PDUs版の数字は一致します。ただし、PMIは現在の商品説明で、このコースを「旧要件を満たすために開発した」とは説明していません。そのため、次のように区別する必要があります。
- 確認できる事実:旧ECOに追加12 training hoursの記載があり、PMIのシステムに12 PDUs版コースの記録がある
- 事実と整合する推定:このコースは、当初の「CAPMに23時間クレジット+追加12時間」という制度設計と関連していた可能性が高い
- 現時点で不明なこと:PMI内部でのコース開発の目的、要件変更の正確な日付、および方針を戻した理由
数字が合っているからといって、このコースが旧ECOの制度設計に合わせて作られたという経緯まで、確定した事実として書くことはできません。ただし、「追加12時間」という情報自体は、誰かが勝手に作った間違いではありません。私自身、当時公開されていたECOを読み、その記載を根拠に資料を作っていました。それが、いつの間にか現行ECOでは修正されていたのです。
2026年12月1日の変更とは別の話
もう一つ、混同しやすい変更があります。
PMIは、2026年12月1日から、ライブで行われるPMP研修の適格要件を変更すると告知しています。対面またはライブ・オンラインの研修時間をPMP申請に使う場合、PMI Authorized Training Partner(PMI認定トレーニングパートナー:ATP)、China Registered Education Provider、または対象となる認定高等教育プログラムが実施するものに限定されます。自学式のオンデマンド研修は、ECOに整合するなどの要件を満たせば、引き続き幅広い組織から受講できます。
これは、CAPM保持者の35時間免除を廃止する変更ではありません。研修が必要な人が、どのような提供者からライブ研修を受けられるかという変更です。
CAPMで免除されない場合、35時間はいつまでに終えるのか
有効なCAPMを持っていない場合は、原則として35時間の研修を修了して申請します。ここにも、PMI資料の書き方に注意が必要な箇所があります。
現行ECOは、研修を「資格が付与される前」に修了するという書き方です。一方、2026年9月25日のPMI公式記事は、PMP申請を提出する前に35時間を修了しなければならないと明記しています。申請実務では研修情報を入力し、監査に備えて修了記録を保管する必要もあります。
そのため、有効なCAPMによる免除を使わない方には、35時間を申請前に修了してから申請することをお勧めします。ECOの一文だけを根拠に、申請後から資格付与前までに終えればよいと判断するのは避けたほうが安全です。
なお、これは研修要件の話です。PMP申請に使える実務経験の範囲については、別記事「修士論文は認められた。起業も認められた。では今は?」で整理しています。
一次情報に当たっていても、混乱は起きる
私自身、旧ECOを読み、「CAPM保持者の35時間免除は廃止された」と理解し、その内容を研修資料に反映していました。旧ECOには、有効なCAPMは23時間分のクレジットとなり、追加12時間の研修を証明すると明記されていたからです。
ところが、あらためてPMIの資料を確認すると、現行ECOではその記載が修正され、結論が逆になっていました。少なくとも私が確認した範囲では、この変更を説明する公式の告知は見つかっていません。
一次情報に当たらずに間違えたのではありません。当時の一次情報を読んで資料を作っていたにもかかわらず、その一次情報がいつの間にか書き換えられていたため、私自身も混乱しました。
古い解説記事を書いた人や、追加12時間が必要だと案内した教育事業者を、すぐに責めることはできません。その情報は、当時のPMI公式資料に基づいていた可能性があるからです。
この事例は、公式資料に当たることだけではなく、次の確認が必要であることを示しています。
- 記事や教材には、確認日を残す
- PDFはタイトルとURLだけでなく、著作権年や改訂版も確認する
- 一度確認した要件でも、実際の申請前に再確認する
- 資格要件と、試験対策として推奨される学習を分ける
- 確認できる事実と、数字から推定した経緯を分ける
PMIの資料に限らず、ウェブ上の公式文書は、同じURLのまま書き換えられることがあります。一次資料だから常に正しい、というより、「どの時点の一次資料か」まで確認する必要があります。
同じ問題は、PMI Certification Handbookでも確認しています。日本語版と英語版の改訂時点の差や、同じ配布URLのPDFが差し替えられる事例については、「日本語版は約3年前のまま――PMI認定ハンドブックの版管理を検証する」で整理しました。
最後に
今回の結論は、単純です。
現在、有効なCAPM資格を持っていれば、PMP申請の35時間研修要件は免除されます。追加12時間の受講も必要ありません。
しかし、追加12時間という情報は、根拠のない誤情報ではありませんでした。PMIのECO旧版に明記され、12 PDUs版コースの記録も残っています。ただし、後者が前者を満たすために作られたことまでは、公開資料から確定できません。
「公式資料を確認したから終わり」ではなく、使う直前にもう一度確認する。残念ながら、この事例で得られる一番確実な教訓は、それなのだと思います。
と、こうして記事を作っている間にも、改定されているかもしれません。日々、最新の一次情報を入手するようにしましょう。
## 参考資料
- Project Management Professional (PMP)® Examination Content Outline — July 2026(現行版、PMI)
- Project Management Professional (PMP)® Certification(PMI)
- How to Meet the PMP 35-Hour Training Requirement(PMI、2026-09-25)
- PMP Exam Updates / Upcoming Changes to PMP Training Requirements(PMI)
- PMI® CAPM® to PMP® Essentials Course – Japanese(PMI)
- PMI® CAPM® to PMP® Essentials Course – Arabic / 12 PDUs(PMI CCRS)
- 2025年表記のPMP Examination Content Outline旧版の保存コピー(第三者アーカイブ)
本記事は、2026年10月13日時点で公開されている資料を基準としています。PMIが正式に公表した現行要件、現在取得できる過去資料、およびそれらからの推定を区別して記載しています。実際にPMPへ申請する際は、必ず申請時点のPMI公式要件を確認してください。
PMP、CAPM、PMBOKは、Project Management Institute, Inc.(PMI)の登録商標です。
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