若手プロフェッショナルがPMP申請に使えるプロジェクト経験と対象外の活動を整理している

修士論文は認められた。起業も認められた。では今は? ── PMPの「実務経験」2026年版

野村(Nick)です。

PMPを受験するには、試験日を予約する前に、PMIへ資格申請を行います。その申請では、学歴などとともに、要件を満たす実務経験を記載する必要があります。申請内容が監査の対象になった場合は、記載した経験について、上司や管理者による確認も求められます。

実務経験の要件を確認する際に重要となる資料が、PMP Examination Content Outline(試験内容の概要:ECO)です。ECOは、PMP試験で問われる領域、タスク、出題比率などを示すPMIの公式文書です。現在のECOには、試験内容だけでなく、受験資格、実務経験、研修要件、申請時の注意事項も記載されています。

先日、説明会の資料を作っていて、一つの言葉が気になりました。PMPの受験資格にある「professional setting」です。実務経験は professional setting で積んだものに限る、と書かれています。では、このprofessionalは、どこまでを含むのでしょうか。

気になったので、手元にあるPMIの資料を、2009年から2026年版まで読み比べてみました。地味な変化ですが、受験を考えている方には関係のある話なので、記事にまとめます。

先に結論:数えられるのは「仕事の場で、プロジェクトを率いた経験」

これからPMPを目指す方に、まず押さえてほしい点は次のとおりです。

  • 「プロジェクトマネジャー」という肩書は必須ではありません。
  • 報酬を受け取った経験でなくても構いません。
  • ただし、仕事の場で、プロジェクトを率いて指揮した経験である必要があります。
  • 学校の課題、学位取得のための研究、私的な行事、自宅の改修は対象外です。
  • 定型業務、運用業務、事務作業は、プロジェクト経験として記載しません。

若手の方は、「まだプロジェクトマネジャーという役職ではないから」と、すぐに諦める必要はありません。役職名よりも、期限と目的のある取り組みの中で、自分が何を任され、どの範囲を率いたのかが重要です。一方、プロジェクトに参加していただけで、率いた経験がなければ、そのままPMPの実務経験になるとは限りません。

2026年版のECOは、何を外しているのか

現行のECO(PMP Certification Exam Content Outline – July 2026)が示す条件を整理すると、次のとおりです。

  • 経験は、報酬を伴う仕事である必要はありません。ただし、仕事の場(professional setting)でのものである必要があります。
  • 学校の課題、学位取得のための研究、私的な行事の計画、自宅の改修などの活動は該当しません。
  • プロジェクトの記述に、定型業務、運用業務、事務作業を含めないでください。

あわせて、経験は申請前の10年以内のものに限られ、重なった期間を二重に数えることはできません。

PMIは公式ブログ(2026年8月28日)で、次のようにも書いています。

  • プロジェクトマネジャーという肩書が無くても、プロジェクトを率いて指揮したことを示せれば、経験として認められ得ます。
  • 逆に、プロジェクトマネジャーという肩書があっても、すべての仕事が数えられるわけではありません。
  • 毎週の定型的な顧客対応は、運用業務です。
  • 役割を実態より大きく書いてはいけません。

申請に使えそうな経験を探すときは、次のように整理すると分かりやすくなります。

  • その取り組みには、達成する目標と区切られた期間があったか。
  • 自分は、どの範囲を任され、誰と調整し、何を決めたか。
  • 日々繰り返す運用ではなく、特定の成果を生み出す取り組みだったか。
  • 監査になった場合に、その経験を確認してくれる上司や管理者がいるか。

これはPMIの申請フォームを置き換える基準ではありませんが、若手の方が自分の経験を棚卸しするための出発点になります。

2009年から2026年へ、条件はこう変わった

ここからは、これから申請する方には少し細かい話です。現在の条件だけを知りたい方は、「受講者の修士論文と、私の起業」まで読み飛ばしても構いません。 過去に認められた事例が、現在もそのまま認められるとは限らない理由を知りたい方のために、条件の変化を表にまとめます。

項目2009年2016年2021年2026年版
経験を数える期間申請前の連続8年同じ同じ申請前の10年
経験の時間数4,500時間または7,500時間同じ要件がなくなるなし
5つのプロセス群すべての経験必要同じ要件がなくなるなし
報酬は不要、ただし仕事の場で記載なし記載なし初めて登場同じ
名指しで外される活動記載なし記載なし学校の課題、私的な行事の計画+学位取得のための研究、自宅の改修
定型業務、運用業務、事務作業を書かない記載なし記載なし記載なし初めて登場

2009年と2016年はPMPのハンドブック、2021年と2026年はECOです。受験資格は、2016年まではハンドブックに書かれていました。2021年3月からはECOにも書かれるようになり、現行のハンドブックは受験資格の詳細をECOに委ねています。表の「初めて登場」「要件がなくなる」は、手元の4時点の比較で分かったことです。

なお、2017年から2020年のハンドブックは手元にありません。そのため、「professional setting」という文言が2021年より前に入っていた可能性はあります。本記事で2021年と書いているのは、手元の資料で確認できた最初の時点という意味です。

手元の資料では、2021年の時点で、時間数と5つのプロセス群の要件がなくなっています。数え方は簡単になりました。その代わりに、「どこで、何をした経験か」を問う方向に変わってきた、と私は読んでいます。

受講者の修士論文と、私の起業

以前、私の講座の受講者に、修士論文の取り組みを実務経験として申請した方がいました。その方は監査に選ばれましたが、経験は認められています。実際にあった話です。

私自身は、2003年に、起業のプロジェクトを経験として申請し、認められています。事業計画書の作成、起業手続き、営業資料の作成などをプロジェクトとして記載し、申請しました。

今の規定で考えると、修士論文は「学位取得のための研究」として名指しで外されているので、通らない可能性が高いと思います。

起業は、2026年版でも名指しでは外されていません。ただし、数えられるのは立ち上げまでの期間的なプロジェクトです。立ち上げた後の日々の運営は運用業務に当たり、外れると考えたほうがよいでしょう。

ボランティア、NPO、地域活動は数えられるか

ボランティア、NPO、フリーランス、自営、地域活動などは、PMIの文書に名指しされていません。規定に書かれているのは、次の3点です。

  • 報酬の有無は問わない。
  • 肩書ではなく、プロジェクトを率いて指揮したかどうかで決まる。
  • 監査に選ばれると、申請に書いた経験ごとに、上司や管理者の署名を求められる(PMI Certification Handbook)。

ここからは私の見立てです。実際の目安は、「その仕事の監督者や依頼主が、経験を証明する署名をしてくれるかどうか」だと考えています。

たとえば、自治体が主催するイベントの運営を手伝った場合を考えます。自治体の主催なので、私的な行事には当たりません。報酬が無くても問題はありません。分かれ目は、「手伝った」のか、特定の部分を任されて「率いた」のかです。会場運営や受付の仕組みなど、任された範囲を率いたのであれば、経験として説明できる余地があります。そして、自治体の担当の方が署名してくれる関係かどうかも、申請の前に確かめておく必要があります。

これはPMIが示した基準ではありません。判断に迷う場合は、申請の前にPMIに確認してください。

一次資料にもある、経験期間の小さな食い違い

ここはPMP申請に必要な知識ではありませんので、細部に関心がなければ読み飛ばしてください。 一次資料を読む際の注意点として、2026年版ECOにある経験期間の例には、小さな記述の食い違いがあります。

図と日付では、プロジェクトIが1月から3月、プロジェクトIIが2月から5月です。実際に重なるのは2月と3月ですが、本文には「2月から4月を二重に数えることはできない」と書かれています。2009年版や2021年版では2月から4月が重なる設定だったため、例の日付を変更した際に以前の語句が残った可能性があります。

結論である「1月から5月の合計5か月」は正しく、実害はありません。ただ、一次資料でも細部が常に整合しているとは限らない、という例です。

なお、35時間研修の修了時期やCAPM保持者の免除については、論点を混ぜないため、別記事「CAPM保持者のPMP『35時間免除』は廃止されたのか」に分けました。

まとめ

  • PMPの実務経験は、仕事の場で、プロジェクトを率いて指揮した経験です。
  • 報酬の有無も、プロジェクトマネジャーという肩書も問いません。
  • 学業と私生活の活動は、名指しで外れています。2026年版で、学位取得のための研究と自宅の改修が加わりました。
  • 定型業務、運用業務、事務作業は書きません。
  • 迷う経験は、自分が率いたかどうかと、経験を確認してくれる人がいるかどうかで考えてください。

受験資格は、これからも改定されます。申請の前には、その時点で有効なECOとハンドブックを確認してください。なお、PMI Certification Handbookの日本語版と英語版は、同じ時点の文書とは限りません。今回参照したのは2026年6月改訂の英語版です。言語版の差と版管理上の注意点は、「日本語版は約3年前のまま――PMI認定ハンドブックの版管理を検証する」で整理しています。

参考資料

  • PMI, PMP® Certification Exam Content Outline – July 2026(revised 11 August 2026)pp.13–15
  • PMI, PMP® Examination Content Outline – January 2021(2021年3月版)pp.15–17
  • PMI, PMP Credential Handbook(revised 15 March 2016)pp.6, 8–9
  • PMI, PMP Credential Handbook(revised June 2009)pp.6–7
  • PMI, PMI® Certification Handbook(revised June 2026)p.6
  • PMI Blog「PMP Application Experience」(2026年8月28日)

本記事は、PMIが公開している文書の記述と、筆者の経験と見解を区別して書いています。受験資格の判断はPMIが行います。

PMP、PMBOKは、Project Management Institute, Inc.(PMI)の登録商標です。


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