
Nick(野村)です。私は非常に頻繁に、ダイアローグという言葉を使います。弊社のWebにも頻繁に登場します。ここで言うダイアローグとは、「お喋りではなく、意識的な対話」「関係を作るための対話」です。
心理的安全性への取り組み
最初に少し脱線します。ダイアローグを継続することは、心理的安全性への取り組みを続けることでもあります。良い状態でダイアローグが続いていると、望ましい関係を継続することができます。安心して、馬鹿なことや、失敗談や、多少厳しいことや率直な意見が言えるようになります。ダイアローグは心理的安全性への取り組みの一つの手段なのです。組織の中では、こうしたことがなかなか難しいですよね。では、ダイアローグとはどんなものでしょうか?ダイアローグのルールから探ってみます。
ダイアローグのルール
全員と極力フラットな環境を作ります。ニックネームで呼び合うのが理想です。呼び名のあとに「さん」や「先生」や「課長」など上下関係や所属を意識させるものをつけることは原則禁止です(ただ、XXちゃん、XXさんが、ちゃんやさんを含めて、語呂が良い・呼ばれ慣れている場合などは、そのように呼び合ってもOKです)。これが前提となります。当然ですが、私のことは、「Nick(ニック)」と呼び捨てにしてください(家族からは、にっくさん、と、呼ばれています。あとから呼び捨てを定着させるのは難しいです)。呼びにくい、という方は、「にく」と呼んで頂いても全然OKです(実際呼ばれています)。先生とか、ほんと、やめましょうね。野村先生とか呼ばれても、反応しないかもしれません(笑)。

「先生」は、「先に」「生まれた」を意味していましたが、日本では、敬称として扱われていますね。敬称は、基本的に不要と考えています。「さん」は「様」が変化したようです。敬意の高い「様」が、ややカジュアルになって、比較的中立に使われるようになったようです。でも、「さん」を抜くと、「さん」に敬意が込められていたことに気付きますので、弱い敬称と私は考えています。
ダイアローグの原則
ダイアローグは次の原則で実施します。
- 双方向
- 自分事
- 相手にしっかり関心を向ける
この原則を守った対話を「継続」します。なんだか当たり前のように思えます。では、ひっくり返してみます。
- 一方的
- 他人事
- 無関心
たとえば、課長が「部長から、XXXという指示があったので、そうしてください」と、対話せず、部下に一方的に伝えること。課長が「それってうちの課の問題じゃないよね、あっちの問題だよね」と発言するのは、他人事。相手に関心を向けず、組織の手続やプロセスだけを押しつけたりするのは、無関心、ですね。こうしたコミュニケーションでは、対話が止まってしまいます。対話を打ち切る力が働いています(あるいは最初から対話を拒否しています)。特に、上下関係があると、止まりやすいと言えます(だからフラットであるべきです)。このダイアローグの逆のコミュニケーションを、モノローグと呼んでいます。
冒頭、「お喋りではない」と、書きました。ダイアローグは「意識的」なものです。無意識な、オートマチックな会話を、お喋りと呼びます。お喋りの特徴は、やたら「馬鹿笑いが起きる」こと「相手が話し終えないうちに言葉を被せる」ことが頻発しています。そういうコミュニケーションではなく、少しゆっくり・ゆったりとした、それでいて、相手に意識を完全に向け続けます。
実は、ダイアローグ、つまり、双方向で、自分事な、相手にしっかり関心を向けた、対話の継続は、難しいのです。
考えて欲しいこと
もちろん、組織があらたなルールによる統制を行うときなどは、相手は反論できない状態、つまり一方的になるかもしれません。あるいは、何かを教えるための講義なども一部、一方的になるかもしれません(私は反省しています)。組織の中ではそういったコミュニケーションも必要であることは認めます。
しかし・・・チームとして仕事をするときに、そんなことって、必要でしょうか?リスクを洗い出すときや、プロダクトのアイデアを出すときに、一方的・他人事・無関心のようなコミュニケーションは、コミュニケーションを停止・破壊させてしまうので、慎まなければならないのです。ですが実際のところ、多くの組織でそれが行われています。
ダイアローグは、プロダクトマネジメントやプロジェクトマネジメントにおいて、基礎となるコミュニケーション、なのです。皆さんはいかがでしょうか?自分自身を少しメタ的に観察してみてください。ダイアローグできていますか?
投稿者プロフィール

- 有限会社システムマネジメントアンドコントロール 取締役社長
- Nick/野村隆昌。1970年生まれ。秋田大学鉱山学部土木工学科卒。有限会社システムマネジメントアンドコントロール取締役社長。PMP、PMI-ACP。東大和市と飯能市に拠点。プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントのトレーニングと伴走が専門。
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